SKAM FRANCEで学ぶ生きたフランス語 紹介&Ep.1 part1

ドラマ
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『SKAM FRANCE』とは、フランスで制作されているドラマシリーズで、ある高校に通う高校生たちを中心人物としながら恋や宗教、病気などに悩む様を描いたものです。もともとはノルウェーのドラマなのですが、様々な国で同じタイトルで制作されており、そのフランスバージョンがこちらです。ヨーロッパの若者の間ではそれなりに流行ったようで、日本でも昨年かな?Amazon PrimeやHulu、U-NEXTなどでの視聴が可能になりました。もともとはYouTubeで無料公開されていてわたしはそれを見ていたんですが、如何せん日本語字幕がなかったので人に薦めづらかった…のですが、日本語字幕もついたことだし、ドラマとしても普通におもしろいので、これを見ながら生きたフランス語を学んでもらえればいいなあという思いです。

SKAM FRANCEざっくり説明

そもそもこのドラマ、配信ではシーズン3とシーズン4のみ配信されていますが、現在シーズン10が配信されているところです。

こちらで主たる登場人物を見ることができますが、シーズン1からシーズン5くらいまでは同じ高校の同じグループの彼らの中から一人ずつ焦点が当たっていく、というような感じで、シーズン1ではエマが、シーズン2ではマノンが主人公でした。シーズン2の最後でマノンはロンドンに行くことになり、友達と住んでいたシェアハウスを出ることになるのですが、ちょうどその時シーズン3の主人公・リュカが住むところを探していたので、彼女は自分の部屋を彼に託すことになり、シーズン3が始まります。シーズン1,2で主人公だったエマやマノンも登場しますが、特に前シーズンを見ておかなければいけないということはなし。

ということで、シーズン3はそんなリュカが自分の性的嗜好に悩みながらも、ある男の子に恋をする話です。シーズン1~3は恋愛がテーマなので、高校生の恋愛といってしまえばそれまでなんですが、「フランスの高校生ってこんなませてるの!?」みたいなカルチャーショックを受けつつ若者の話すフランス語が聴けるのでそれだけでも新鮮で楽しいですよ。まあ若者向けの青春ドラマではあると思いますが…宗教や病気などもテーマとなるので、そこまで軟派でもないとも思います。

このブログでする解説について

このドラマの特徴として、1épisodeが、例えば「Samedi 10h55」といったように曜日と時間をタイトルにとった、たくさんの細かいséquenceで構成されているということです。こんな感じ。(※イメージです)

実際フランスでは、YouTubeで「Samedi 10h55」というséquenceのビデオが土曜の10時55分にアップロードされるので、ドラマの登場人物たちがリアルな時間に存在しているような演出となっています。で、1週間経つと1週分のséquenceが溜まり、それが1épisodeになる、という仕組み。

日本の配信ではépisodeずつの視聴となるので関係ありませんが、このブログではそのséquence毎に1つセリフをピックアップして解説していこうと思います。解説自体は、やっぱり生きたフランス語を使ってなので、中級向けにはなりますが、生きたフランス語はそういう語彙を使うのね~とか、条件法ってそういう時に使うのね~とかなんとなく思ってもらえるだけでもいいなあと思います。あとは、かなりくだけた表現や語彙も多いので、教科書とは違ったフランス語に触れられるのも面白いかなと思います。

では早速、第一話の前半séquencesを見て行きましょう。是非ドラマを見てから続きを読んでみてください。

SAMEDI 16:48

Lol Le mec il plaisante pas / Yann

最初のséqueunceは主役のLuca1が一人で公園のベンチに座り、携帯にくるメッセージを見ているところ。ここで既に”Quelle heure”が”kel heure”とされているなどくだけた(というか普通に間違いなんですけど、発音が一緒だからという理由だけでお手軽にこんな書き方をしてますね)フランス語が見られます。話しているのはLucaの仲間たちで、今夜Emmaの家に今夜行く予定。Arthurが

“J’ai pris un pack de bière et de la beuh.”

と送り、それに対するYannの返信が

“Lol Le mec il plaisante pas.”

というわけです。そもそもArthurの言う”la beuh”は大麻のこと。これはverlan(こちらの記事をどうぞ)のひとつで、葉っぱを意味する”herbe”が逆になったもの。ハッパ、つまり大麻というわけ。verlanはこのドラマ、これからもたくさん出てきます。Yannの台詞は日本語字幕だと「笑笑 マジかよ」となっています。”Lol”はもちろん英語の「笑」のことで、動詞plaisanterは「冗談を言う」という意味。”le mec”は「この男」、つまり「こいつ」ぐらいの訳で、その後すぐに主語”il”がそれを受けています。「Emmaんちでやるパーティーに何持って行く?」という普通の会話で「ビールと大麻持って行くで」というArthurに「お前はほんまいつでも本気やな笑」ぐらいの軽いつっこみですね。んー、なかなか訳しにくい。

SAMEDI 22:15

そんなEmmaの家でのパーティにて。高校生が親の留守の間にこんなパーティーしてたら本当にませすぎでしょと思う。キッチンにて男子トークを繰り広げる4人。

Alors, le prends pas mal, mais je te confierais même pas un stylo. / Arthur

持ってきた”la beuh”(ハッパ)をYannに持って帰ってくれるか聞いたArthurですが、母親が部屋を漁るから無理だと断られ、するとBasileが自分が持って帰ってもいいよと提案します。そこでの台詞。

“Le prends pas mal”

「悪くとらないでくれ」「ノーオフェンス」ということですね。もちろん文頭に来るはずの否定の”Ne”は落ちています。このドラマのほとんどの否定文でこの”Ne”が省略されているの、聞き取れるでしょうか?

“Je te confierais même pas un stylo”

“confier”は「託す」、これが条件法になっているので、例えば「何があってもお前に預けることはないだろう」というような感じ。日本語字幕は「鉛筆」になってますが、”stylo”はもちろんボールペンです。”même pas”なので、「~ですら」。これを踏まえると「ノーオフェンスで言うけどボールペンですらお前には預けへんで(なのでハッパなんか絶対に渡されへんわ)」と、相手への信用のなさを冗談めかして言ったセリフです。Basileがどんなキャラかよく分かりますね。

DIMANCHE 11:27

二日酔いのLucaが目覚めると、ルームシェアをしているMikaとLisaが元ルームシェアメイトのManonと電話しており部屋に押しかけてきます。

Et pour le loyer, ça va ? Tu t’en sors ? / Manon

vénère (énervé=怒る), keuf (flic=警察), relou (lourd=だるい), téma (mater=見る)などこの1séquenceだけでもverlanたくさんでてきますね。そもそもverlanになる前の”flic”もargot(スラングのこと)、”mater”もargot寄りかな?”flic”のverlanが”keuf”と言われても、いやエルの音どこ行ってん…と思うけどね。

“Tu t’en sors ?”

s’en sortir、「うまくやれてる?」「なんとかできてる?」という表現。”Pour le loyer”と併せて、「家賃は大丈夫?なんとか払えてる?」という意味ですね。両親からお金の援助がもらえずに困っていたLucasの状況を知っているManonの優しい言葉です。これは結構普通によく聞く表現なので覚えていて損なしだと思います。

 

という感じで、使えるセリフや面白いセリフも多いので、こんな風にドラマを追いながらセリフ解説をしていければなと思ってます。

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