よく生徒さんに「おすすめの単語集は?」「おすすめの演習本は?」と訊かれるのですが、自分があまり本を使って勉強していなかったためかコレ!というのがあまりありませんでした。ということで、今回は手持ちの本はもちろん、大学図書館、市の図書館などなどを利用していろいろな本を見てみた結果、おすすめできると思った本を本の種類ごとに紹介します。今回は全て日本語で出版されている本に限ります。また検定対策の本についてはこちらの記事をご覧ください。
文法書
ここで言う文法書とは「フランス語の文法を体系的にまとめた参考書」にあたるものです。辞書的に使うものなので、演習用ではありません。
新・リュミエール
フランス語の文法書といえば!ですね。基本がしっかりまとまっており、あまり面倒なことは敢えて触れず(例えば再帰動詞の性数一致のする・しない問題はさら~っと1文言及しているのみです。初・中級者には混乱を生まなくてよい!)、練習問題も充実していますので、使いやすいと思います。親しみやすい文体。
これならわかる フランス語文法
とにかく分厚い!でもこれがあれば何も買い足す必要はありません。まさに「この1冊で!」の内容の濃さです。これだけ厚い本でも、わたしはフランスにも持って行きました。レッスンをするなら手元に置いておきたい本です。ただし、本当にフランス語文法をしっかり理解していないと「いったい何を言っている???」となること間違いなしなので、文法の理解度にかなり自信のある方、細かいところをたまには先生の手を借りながら詰めていきたい方などでないとおすすめできません。
学習用フランス語テキスト
いわゆる教科書的な位置づけにあたる、フランス語を独学・またはレッスンで学んでいきたいときに使えるテキストです。
新 ゼロからスタートフランス語 文法編
名前の通り、ゼロからフランス語を始めたい方にはピッタリだと思います。文法編ではありますが、冒頭には発音についての説明もあり、文法も冠詞から複合過去までが簡単にまとまっています。そして練習問題もしっかりあります。言語の学習に慣れている人には物足りなかったり、やはり複合過去までしか見られないので、1冊でフランス語の基礎力をしっかり付けていきたい人にはちょっと物足りないかもしれませんが、逆に言えば「まずはちょっと触れてみたい」「フランス語がどんなものかゆっくり確認したい」という方にはピッタリかなと思います。
ニューエクスプレスプラス フランス語
先ほどのゼロからスタートフランス語の発展バージョンみたいな感じです。ゼロから~が例文から学ぶのに対して、こちらは会話から学べますし、また学べる文法もゼロから~が複合過去までなのに対し、こちらは一応接続法までしっかり学べます。ゼロから~よりもしっかり学びたい人、1冊で仏検3級レベルまで文法を見ていきたい人におすすめです。ただしゼロから~と同じような厚さで内容が数倍濃いので、ちょっと難易度は上がるかなと思います。
だいたいで楽しいフランス語入門
ゼロから~とニューエクスプレスの間みたいな感じで、アプローチ的にはゼロから~に近い感じなのですが、内容が関係代名詞、単純未来、ジェロンディフなどゼロから~より広範囲です。ジェロンディフまでいったなら接続法まで説明してしまえばいいのにとも思いますが、接続法は説明していません。そこをカットしたのも何だかこだわりすら感じます。「だいたいで楽しい」の名前の通りの本で、まずとりあえずの学習は「だいたい」でいいわけです。東京のフランス語学校の講師の方が書かれた本ということで納得です。完璧に全部細かくやっていくと続かないので、「だいたい」で教えるし「だいたい」で学んでいってよ、という手軽さが素敵な本だと思います。
文法問題集
次は演習用のテキストです。例えばレッスンでフランス語文法を学んでいて、+αで文法の練習問題を解きたい人、前に習ったことを忘れたから復習がてら練習問題を解きたい人のための本です。
フランス文法総まとめ 問題集
フランス語文法全体の問題集です。同じ著者の方の「フランス文法総まとめ」という本の問題集バージョンですが、こちらでも一応文法も簡単にまとめてくれていますし、これ一冊で使用しても問題ないと思います。各章ごとの問題と、〇章~〇章のまとめ問題とあって、練習にとても良いと思います。答えがちょっと見づらいけど、シンプルでよい!初級者の方からおすすめできます。
解説がくわしいフランス文法問題集
すごくすごくよい本だと思います。ただ、内容は冠詞から始まりますが、かなり細かいところまでしっかり詰めていく感じなので、レベルとしては準2級や2級からぐらいからでないとちょっと難しいと思います。そして細かい文法をきっちり学びたいという意思がないと嫌になると思います。笑 が、逆にそのレベルの方の細かい疑問にしっかり答えるところがあるので、やってみて損はないと思います!
単語帳・熟語帳
クラウン フランス語単語
個人的な単語帳のおすすめはこちらです。仏検4・5級対応の初級編、準2・3級対応の中級編、準1・2級対応の上級編と3冊あります。実際にこれを使って勉強していたわけではないので実際の使用感ということではありませんが、見た感じクセもなく、使いやすそうです。後述しますが、キクタンと比較してかなり実用的な例文なのも良いです。
クラウン フランス語熟語辞典
これは本当に誰にでもおすすめしたい!5級から1級までのレベルで熟語を「前置詞àを使ったもの」「avoirを使ったもの」など分けて紹介しています。何級の人でも、最初のページから知らないものがないか復習していけばとても勉強になると思います。例文もしっかりあります。ただ残念なのが、いわゆる単語帳などと違うので、日本語訳を隠したりすることができない点です。熟語帳ではなく辞典なのでしょうがないと思うのですが、せっかくなら日本語を赤シートなどで隠せれば自分が知っている熟語かどうかの確認もしやすかっただろうにと思います。まあでも手放しでおすすめ!!
こんなとき、どう言う?フランス語表現力トレーニング
中級レベルの方にとてもおすすめ!たとえば「お礼を言う」というテーマでは、Merci deやMerci pour、Je vous remercieなど色々なお礼の言い方を紹介しています。フランス語を学んできたけれど、知っている言い方だけでなく、色々な表現を使えるようになりたい、という人にはぴったりです。パターン紹介の後に2回その表現を使って文章を作る練習もできるし、音声も付いているし、ページ構成も見やすい。とても良い!実はこの本は、学習中のイタリア語の本を何か、と思って図書館でイタリア語バージョンをたまたま借りたところ、とてもよかったのでフランス語バージョンも探してみた、という感じです。
発音本
フランス語発音トレーニング
発音本ならこちらがダントツでおすすめです。かなりしっかり学べる分、これから入ってしまうと余計混乱する可能性はありますが、例えば[t]の発音の仕方、[r]の発音の仕方それぞれに言及するのはどの本でも同じですが、この本では[tr]の発音の仕方にも言及しているのが素晴らしいところだと思います。
その他の本
以下は、個人的には手放しでおすすめ!というわけではないけれど…という本です。人によっては合う・合わないはありますので、最終的には自分で中をパラっと確認されるのが一番だとは思いますが、「どんな人なら使えそうか」をコメントと一緒に紹介します。
フランス語入門 分かりやすいにもホドがある!
かなり口語的な語り口でフランス語文法をほぼ全て説明している本で学びたい人に
「入門」と銘打っておきながら接続法までしっかりできるので、この薄さ1冊でフランス語文法を大まかに全部見られると思うとなかなか良い本だと思います。あと、文法書というよりは文法解説本みたいな感じなので、独学で使うのにも良いと思います。レッスンを文字で受ける感じ。ただ、何より(個人的に)残念なのがこの語り口で、気にならない人はいいのですが、「無理!!」となる人も必ずいる本かなと。ギャルが書いているのかなと錯覚します。それが嫌でなければおすすめ!
ケータイフランス語文法実践講義ノート
本筋ではない脱線したコラム的な内容を楽しみながらフランス語文法を学びたい人に
内容は充実しているとも言えますが、コラム的なのも多く、もう少しシンプルにできたのでは?という気もしなくないです。例えば自己紹介の解説ページに「頑張ってね」を意味する「Merde」の表現の話が入っており、レベルが違いすぎる(Je m’appelleのページでする話ではない)し、そんなに関連性もないなと思うのですが、逆に言えば色々読んで楽しみたい人には良いと思います。親しみやすい文体。
ひとりでも学べるフランス語
レッスンはとらずに独学で本腰を入れてフランス語を学ぶという強い意志のある人に
そもそもわたしがひとりで本を使って言語を学ぶ、ということに懐疑的なので、この本を読んでひとりでフランス語が学べる人は果たしてどれくらいいるのか、とは思ってしまいます。わたしがフランス語講師だからということを抜きにしても、「フランス語ができるんだからイタリア語もできるだろう」と舐めてかかってイタリア語を独学しようとして躓いたので、やっぱり気になることを質問できる相手がいる、一緒に足並みをそろえて学習を進めてくれる人がいる、お金を払っているというモチベーションを保てる、など色々な点で先生と一緒に言語を学ぶというのは良いなと思います。という話は置いておいて、この本ではフランス語文法をほぼすべてさらうことはできます。練習問題も付いています。文法説明中に割といきなり練習問題が出てくるのが個人的には気になりますが…文法説明ページと練習問題ページは分けたほうが見やすい気がする。練習問題の音声がついているのはなかなか珍しくて良いなと思います。情報量は多いので、前書きにある通りこれをしっかりやれば仏検3級レベルまでは到達できます。
耳が喜ぶフランス語
ストイックにリスニングを演習したい人に
リスニングに特化した本で、100個のフランス語文章と、その和訳、そしてもちろんその音声がついています。なんかいい意味でも悪い意味でもストイックに「聴くこと」に特化しているので、この本の取り組み方としては①音声を何度か聴いて何を言っているかを聞き取ってみる、②もうこれ以上聞き取れないというところまで来たらフランス語を見ながら聞いてみる、③意味が分からないところは日本語を確認する、の繰り返しになるかなと思います。いわゆるリスニング問題と違って、「音声を聴いた上で問題に答える」という形式ではないので、リスニングに対するモチベーションがしっかりないと、ちょっと大変な本かもしれません。ただ、100個のテキストは3レベルに分かれていて、A2/B1-B2/C1で対応しているとのことなので、長く使えるのかなと思います。
キクタン フランス語
格言が好きな人に
例文が作家、詩人、哲学者などの言葉になっているのが好みが分かれそうなポイントです。初級編と銘打ちつつ、「もしある人とその人の生き方との間に真の一致が無ければ、幸せとはいったい何だろうか?」がaccordの例文になっているのは個人的にどうかと思います。そういう名言が好きな方にはいいと思いますが、初心者レベルに向けておきながらなんでそんな格言ばっかり例文に…と思わずにはいられません。普通の例文もありますが、7割くらいは格言が例文になっている気がします。
フランス語の参考書はかなりたくさんあるのでどうしても一部にはなりますが、色々と紹介してみました。どなたかの参考になれば嬉しいです。その内フランス語で出版されている問題集などのレビューもしてみられればと思っております!
コメント