SKAM FRANCEシリーズ、今回は1話の後半です。前半はこちら。
LUNDI 13:21
Parce que ça va devenir l’endroit le plus chanmé du lycée / Daphné
(どうしてって高校で一番クールな場所になるからよ!)
男の子4人に”Kiffe ton foyer”というチラシを渡すDaphné。動詞”kiffer”はアラビア語から来た動詞で”aimer”の代わりに使われます。主に若者にめちゃくちゃよく使われています。”Tu le kiffes ?”(彼のことすきなの?) 、”Tu as kiffé mon gateau ?”(わたしのケーキおいしかった?)など、本当によく聞きます。教科書には絶対載ってないけど留学したら必ず聞く語彙ですね。
”Kiffe ton foyer”の”foyer”は”femme au foyer”の”foyer”ですが、ここでは「共有スペース」ぐらいの訳が良いのかな。le foyerは”les boloss”(訳は陰キャとかかな)が行く場所だよ、と言うYann、なんでそんなところに俺らが行かなくちゃいけないの?とLucas、するとDaphnéがこの台詞を。
“Parce que ça va devenir l’endroit le plus chanmé du lycée.”
“chanmé“も“méchant“のverlanですね。もともと「意地悪な」というネガティブな意味のこの形容詞ですが、スラングだと逆に「良い」という意味でも使われます。謎ですよね。でもよくあるパターンでもある。このchanméもシリーズ中に何度も何度も出てくるverlanです。ちなみにわたしはこのドラマで初めて聞きました。
Mercredi 10:34
Si je l’avais pas ramassée, la police l’aurait retrouvée chez Emma / Imane
(もし私がハッパを拾ってなかったら警察がエマの家で見つけてたところだったんだから)
授業の始まる前、ImaneがLucasのもとにやってきて彼の落としてきた”la beuh”を拾ったと告げます。”bouffon”(おバカさん)と言われて怒るLucasにImaneがこの一言。
みんな大嫌いな仮定法過去ですね。仮定法過去は「Si+大過去、そして条件法過去」という風に作られます。しかもこの文章では代名詞la(=la beuh)が入っているので、2つの”ramassée”と”retrouvée”という過去分詞に女性のeがくっついています。
VENDREDI 16:38
Ça sent chelou, non ? -Ça sent la déprime. / Emma et Alexia
(「変な匂いしない?」「終わってる匂いがするね」)
ただでさえこの回はLucasがEliottに一目ぼれする回で見ごたえがありますが、最初の女の子たちの会話も楽しくてすきです。”chelou”は”louche”(変な)のverlan。「変な匂いしない?」とのEmmaの質問にAlexiaが「”la déprime”の匂いがするね」と応えます。”la déprime”、なかなか訳しにくいね。”Je suis déprimé.”は「落ち込んでいる」という風に使えるので、名詞になると「落ち込み」とか、辞書だと「鬱状態」とか出てくるけど、とにかくもう「終わってる」匂いがする、って感じですね。”Ça sent bon”で良い匂いという意味ですが、bonの代わりに別の形容詞を使えば「~な匂いがする」と言うことができます。
ちなみにこのあとにAlexiaが言う”C’est la phrase la plus triste que j’aie entendue aujourd’hui !”という台詞もすき。「今日聞いたフレーズの中で一番悲しいわ」ということ。最上級のあとは接続法が来るので書き起こすとこうなりますね。Alexiaはそんなこと1ミリも考えてないだろうけど。1 ちなみに”la phrase”は後ろの関係代名詞以下の”j’aie entendu”の(avoirを使用した)複合過去の直接目的語ですが、その直接目的語がavoirより前に来ているため、”la phrase”の女性性が過去分詞”entendu”に影響してeがついています。この説明、ほんま文章にすると自分で読んでも意味わからんわってなるわ。
VENDREDI 18:53
Ah merde ! T’en voulais ? Ça tombe bien, c’est pour nous deux. Tu viens ? / Eliott
(あ、ほしかった?ちょうどよかった、俺ら二人分だから。おいでよ?)
Eliottのナンパ台詞!!よっ!お菓子の自販機の前でどれにしようか悩んでいるとLucasが来て、24番がいいよと言われたので素直に24番を買うEliott。2つ買ったところ在庫がなくなってしまい、この台詞を言います。
”T’en voulais ?”
の”en”はこのお菓子のことですね。食べ物などについて、「食べたい?」とか「いる?」とか聞くときは、çaは使わずにenを使います。あ、ごめん欲しかった?、と尋ね、曖昧にNonを伝えるLucasに顔色ひとつ変えずこう続けます。
“Ça tombe bien, c’est pour nous deux.”
”Ça tombe bien”はちょうどよく落ちる、と書いて「ちょうどよかった」「タイミングがいい」ということ。つまり一緒に食べるために2つ買ったんだよ、おいで?、ということですね。自然かつ不自然なナンパフレーズです。すごい。
まとめ
と、こんな感じでエピソード1が終わります。LucasとEliottの出会い、それからこのエピソード1で象徴的な場所になるFoyerという共有スペースへの導入です。
- ramasser (集める、拾う)
- louche (変な):chelouというverlanにもなる
- Ça sent bon / bizzare (良い/変な匂いがする)
- T’en veux ? (いる?):チョコなどを差し出しながら
- Ça tombe bien (ちょうどよかった)
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