「リーズナブル」を深掘り

表現・語彙
表現・語彙

「リーズナブル」という言葉は、「お手頃価格の」といった意味でよく使用されるカタカナ語ですが、英語の「reasonable」という単語をカタカナにしたものです。例によってこの英単語もフランス語起源のようで、フランス語では「raisonnable」となります。

語の成り立ち

勘の良い方ならパッと思いつくかもしれませんが、「raisonnable」という単語は「raison」に「-able」という接尾語がついてできています。「raison」の意味は英語の「reason」と同じように「理由」という意味ですね。

「Pour quelle raison ?」で「Pourquoi ?」と同様の意味になったり(後者を使えばいいので前者を覚える必要は特にありませんが)、あとは「Tu as raison.」のように「avoir raison」で「正しい」という熟語になったりします。

raisonの別の意味

辞書を引くと「raison」の意味として他に「理性」や「道理」という意味も出てきます。「raisonnable」の「raison」の意味はどちらかというとこれらの意味で、「-able(~できる、~の性質を持つ)」と合体し、「raisonnable」は「理性を備えた」「道理にかなった」という意味になります。英語でも同様なので、「リーズナブル」のそもそもの意味は「値段が安い」ということではありません。

「raisonnable」がどういうときによく使える単語かというと、「今月マニキュアを10本も買っちゃった…でももう1つ欲しいのがあるんだよね…欲しいな、でも既に10本も買ってるのにまだ買い足すなんて、”C’est pas raisonnable !”」こんな感じです。「ダイエット中なのにレストランに来てステーキ食べちゃった…でもこのお店デザートも有名なんだよね、おいしそうなタルトタタンを頼んじゃおうかな…でもお腹いっぱいだし、ダイエット中だし…”Il faut être raisonnable…”」こんなんとかね。要するに「理性的になり」「分別をもって」いるような状態のことでしょうか。

なので、「我慢する」という要素が少しありますね。和仏辞書で「我慢」で引くと「supporter」などが出てきますが、こちらは本当に「痛みなどに耐える」ぐらいの意味になります。「旅行に行きたい!!!!でもこんな状況じゃやっぱり遠出は難しいし、折角旅行に行くなら思いっきり楽しみたいし、今旅行に行くのは”Ce ne serait pas raisonnable”」というように気持ち的にしたいことを自らの理性で以て我慢する、というような状況に使えます。ちなみに「我慢する」に似た意味にはなりますが、動詞ではなく形容詞です。また「Je suis raisonnable」にすると「わたしは理性的な、分別のある人間だ」になるので、上記のような意味で使いたければ主語はモノ、もっと簡単に言うなら主語は必ず「C’est」を使っておけばOKです。

リーズナブルの意味

そして最後に「価格が手ごろな」という意味の「リーズナブル」に戻りますが、「raisonnable」は実際「価格が手ごろな」という意味で使えます。どちらかというと「価格が適正な」の訳の方がぴったりですが。そもそも「分別のある」という意味なので、商品やサービスにたいして付けられている値段が「分別のある」「妥当な」ものであれば、「raisonnable」と形容できるわけなので、「Le prix est raisonnable」や「un prix raisonnable」で「適正な価格である」ことが言えます。

 

raisonnable、値段についても使いますが、「分別を持った」という意味で使うことも多いので、二つの意味を以上のように合わせて覚えておくと便利です。

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