「Tu m’étonnes」を深掘り

表現・語彙
表現・語彙

今日は「Tu m’étonnes」という表現について見て行きたいと思います。わたしがフランスで初めて聞いて、「…??」となったちょっと変な表現です。

動詞「étonner」

この「Tu m’étonnes」という表現は「驚かす」という意味の動詞「étonner」を使っています。「Je suis étonné(e)」で「びっくりした、驚いた」という表現は聞いたことがあるかもしれませんが、これはこの動詞「étonner」の受け身系というか、動詞がもう形容詞になっちゃって「étonné」で「驚いた」という意味になっているわけです。

では「Tu m’étonnes」の意味は?

動詞「étonner」が「驚かす」という意味なら、この「Tu m’étonnes」は「あなたはわたしを驚かします」という意味になりそうですよね。もう少し会話の中での自然な訳にするなら「まさかそんなわけが!」みたいな。しかしながらこの表現、意味はまるっきり逆になるのです。「Tu m’étonnes」という表現は「Tu ne m’étonnes pas du tout」という意味なのです。まったく意味が分かりません。フランス人らしすぎます。

「Tu m’étonnes」は「そりゃそうだよね」というようなことを言われたときに返す表現です。「昨日は晩御飯後にラーメン屋行って帰りにコンビニでアイス3本買って帰ってから家でケーキ食べて寝たからむくんじゃった…」「Tu m’étonnes.」こんな感じです。なので言い方としても「Tu m’étonnes !」ではなく「Tu m’étonnes.」と落ち着いた感じで言うわけです。

皮肉っぽいときがほとんどですが、普通に共感を表すこともできるので「日本人で留学したけどやっぱフランス語で大学の授業についていくのは大変だよ…」と弱音をこぼすと「Tu m’étonnes.」と共感してもらったことがあります。ただやっぱり、「驚いたよ!」という意味で使ってるところは聞いたことがないですね。その場合は普通に「Pas vrai !」などと言うかなと思います。

Ça m’étonnerait

ちなみに同じ動詞「étonner」を使ったこんな表現もあります。これは動詞を条件法に活用しており、「本当にそうなら驚くけど…(そんなわけないでしょ)」という意味です。「あなた、あの子友達と勉強するって出ていったけどホントにちゃんと勉強してるのかしら…」「Ça m’étonnerait…」(=Je ne pense pas)みたいな。

ちなみに「Ça ne m’étonne pas」は直訳通り「そんなことじゃ驚かないよ、そんなことと思ったよ」という意味です。「Ça ne m’étonne pas」と「Tu m’étonnes」は同じ意味というわけですね。心底なんでやねんと思った、わたしと愛するフランス語の甘い思い出です。

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