これはわたしがフランス人のお宅の夕飯にお邪魔した際に、ご飯を終え、冷蔵庫を開けたお母さんが食卓にいる我々に対して言った言葉です。(フランス人はご飯→チーズ→デザートという順でごはんを〆ます)
謎の疑問文
わたしはこれを初めて聞いた時、
と頭の中で変換しました。「変な言い方だな…『誰がチーズを欲しいかを知っている人は誰?』という言い方で『チーズいる人?』と聞いているのか…?」と。完全に初めて聞いた言い方だったので。しかし実際は
だったのです。「sait」と「c’est」の発音は一緒なので間違えて理解してしまったわけですね。ただ前者の文章、解読すると強調構文を使っているのですが、実はあまりにもおかしいのです。
強調構文
強調構文とはそもそも、文章の中のある事柄を強調したい時に、その単語をC’est quiやC’est queで挟んで前に文章の前に持ってくる、という構文です。
そのままの文では「ポールはチーズが欲しい」という意味になりますが、「ポールこそが」チーズを欲しい人間である、と言う風にポールの部分を強調したい場合、このような強調構文が作れます。ちなみにポールが欲しいのは「チーズである」(ケーキでもアイスでもなくチーズなのだ!)と言いたい場合は「C’est du fromage que Paul veut.」といった形になります。quiかqueかの選び方は関係代名詞の考え方と一緒です。
実は変な文
ただ、「誰がチーズを欲しいですか?」という疑問文は、強調構文を使う必要が全くないのです。
そう、本来はこんな感じで強調構文なしに疑問文を作るのが正しいのです。この時点で「誰が」が強調されているも同然なので、強調構文にする必要性がないのですね。
ということで、我々の読む教科書にはもちろん、フランス人の読む教科書にも載っていないはずのこの文章ですが、結構よく聞くフレーズではあります。Qui c’est qui a mangé du chocolat !?とかね。
コメント