リトルマーメイドの『Embrasse-la !』から復習する命令文

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ディズニー映画『リトルマーメイド』の挿入歌、日本語では「キス・ザ・ガール」。どうにかアリエルを取り戻すため、エリック王子に「アリエルにキスして!」とセバスチャンが歌うこの曲、あらゆる言葉でエリックにキスを捲し立てるところがとってもディズニーらしくてすきです。歌詞も結構易しめのフランス語なので、今回は日本語訳と同時に命令文の文法事項も下で解説してみます。覚えておきたい表現や単語がたくさんなので、マーカーで目立たせてみています。ちなみにリトルマーメイドはフランスだと1990年と1998年の二つの吹替えヴァージョンが存在しますが、個人的には98年の方がずっと好きなのでそちらのビデオを紹介。


Regarde-la, douce et fragile à la fois
見てよ、優しくて同時にはかない彼女を
Elle ne dit rien, elle se tait
彼女は何も言わず黙っている
Mais ton coeur brûle en secret
君の心臓は密かに燃えているはず
Tu ne sais pas pourquoi
なぜだかは分かっていないけど
Mais c’est plus fort que toi
それは君の意思より強く
T’aimerais bien… l’embrasser 1
彼女にキスしたがっているんだ

Tu rêvais d’elle
君は彼女を夢見ていて
Tu l’attends depuis toujours
ずっと前から待っていたんだ
Si c’est un roman d’amour
これが愛の小説だったら
Faut provoquer l’étincelle 2
恋の火花を散らさなくちゃ
Et les mots crois-moi
さあ信じて
Pour ça, il n’y en a pas 3
そのためには言葉なんていらないんだ
Décide-toi, embrasse-la
決心して彼女にキスするんだ

Sha-la-la-la-la-la, my oh my
Il est intimidé
彼は恥ずかしがってる
Il n’ose pas l’embrasser
彼女へのキスまで思い切れないんだ
Sha-la-la-la-la-la, s’il est sage
もし彼がこのまま大人しかったら
Ça serait vraiment dommage
本当に残念なことになるだろうよ
Adieu la fiancée
フィアンセにさよならだ

Prends-lui la main
さあ彼女の手を取って
Dans la douceur du lagon
甘美なラグーンの中へ
Décide-toi mon garçon
決心することだね
Et n’attends pas demain
明日を待ってちゃいけない
Elle n’dit pas un mot
彼女は一言も話さない
Et n’dira pas un mot 4
この先も
Avant d’être embrassée
キスされるまではね

Sha-la-la-la-la-la, n’aies pas peur
怖がらなくていい
Ne pense qu’au bonheur
幸せだけを考えるんだ
Vas-y, oui, embrasse-la
さあいけ、キスするんだ
Sha-la-la-la-la-la, n’hésite pas
迷わなくていい
Puisque tu sais que toi
だって君は知ってるから
Toi, tu ne penses qu’à ça
君自身がそのことしか考えてないって

Sha-la-la-la-la-la, c’est si bon
本当に素晴らしいよ
Écoute la chanson
音楽を聴いて
Décide-toi, embrasse-la
決心して、キスするんだ
Sha-la-la-la-la-la, vas-y fait vite
さあいけ、早く
Écoute la musique
音楽を聴いて
Dépêche-toi, embrasse-la
急いで、彼女にキスを
Embrasse-la, embrasse-la, embrasse-la… allez, vas-y
Embrasse-la
彼女にキスを、さあ


ではここから歌詞に出てくる命令文を取り上げながら命令文の復習をしていきます。この曲には命令文がとにかくたくさん!そして再起代名動詞や代名詞を伴う動詞の命令文が多いのでとっても勉強になります。すばらしい!出てくる命令文は以下の通り。

  • Embrasse-la
  • Regarde-la
  • Crois-moi
  • Décide-toi
  • Prends-lui la main
  • Vas-y
  • N’hésite pas
  • Écoute la chanson
  • Dépêche-toi

 

まず一番基本の形が「Écoute la chanson」です。命令文は、➀平叙文の主語(「Tu」か「Vous」か「Nous」)をなくして➁なくした主語が「Tu」で、その動詞が「-er」で終わる動詞なら語末の「s」を取る、というのが基本の作り方です。マジで➁のルール考えた人本当にどういう理屈で「s」をなくそうと考えたのかを教えてほしい所ですよね。この「Écoute la chanson」も「Tu écoutes la chanson」という平叙文からこの形になっています。否定の命令文もそのままで、「N’hésite pas」は「Tu n’hésites pas」を変化させているだけ。

次に目的語が代名詞になっているパターン。曲名の「Embrasse-la」を平叙文にすると「Tu l’embrasses」です。先述の➀、➁の手順を取ると「L’embrasse」になりますが、➂人称代名詞はハイフンをつけ動詞の後ろに持ってくる、という3つめの手順があるので、「Embrasse-la」となります。「Regarde-la」も一緒ですね。「Prends-lui la main」に関しては平叙文が「Tu lui prends la main」です。間接目的語(「lui」)と直接目的語(「la main」)が両方伴う文章ですが、人称代名詞の方のluiをハイフンでつなげて後ろに持ってきてこの形になっています。

「Crois-moi」は平叙文にすると「Tu me crois」です。素直にいくと「Crois-me」になりますが、➂のルールには(※但し1人称、2人称は強勢形にする)という但し書きがつきますので、この「me」は「moi」に変わり、「Crois-moi」となっているわけです。

「Décide-toi」「Dépêche-toi」など、「-toi」や「-vous」になっている命令文は再起代名動詞の命令文です。先ほど「(※但し1人称、2人称は強勢形にする)」というルールがありましたが、この「2人称」の部分は再起代名動詞に当てはまります。「Tu te décides」という平叙文の➀主語が落ち、➁「s」が落ち、➂「te」が「-toi」になって動詞の後ろにくる、という段階を踏んで「Décide-toi」になっています。再起代名動詞なのでややこしそうに感じますが、やってることは一緒ですね。

最後に「Vas-y」ですが、「Vas」とは「aller」のことですね。この動詞は「-er」で終わっているので➁のルールが適用され、「Va !」となります。が、後ろに「-y」という中性代名詞と呼ばれるやつがつくと「ヴァイ!」って言いにくいよね?ということで、「s」が復活し「Vas-y」となります。「-y」がないときは「Va !」で、あるときは「Vas-y !」というわけですね。ますます「s」を落としたがった人の気が知れません。ちなみに、「行け!」と言うときは「Vas-y」が使われます。「Va」という命令文は感嘆詞っぽくなりますが、ほぼ使わないですね。

命令文の作り方
  1. 平叙文の主語(「Tu」か「Vous」か「Nous」)をなくす
  2. なくした主語が「Tu」で、その動詞が「-er」で終わる動詞なら語末の「s」を取る
  3. 人称代名詞はハイフンをつけ動詞の後ろに持ってくる(※但し1人称、2人称は強勢形にする)

コメント

  1. Hiroko Yamada より:

    Bonjour Maho,
    Merci de m’avoir envoyé ce blog.
    今日は早く起きたので、ブログを見ています。アリエールの歌が可愛すぎてニコニコしてます。
    それと同時に命令形の、私のひっかかるところが書いてあって、なるほどと感心しています。このブログは本当に、あ~そうなんだ!という箇所がたくさん書いてあって勉強になります。ありがとうございます。またカフェトークでお会いしましょう。
    Bonne journée et à bientôt.
    Hiroko

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