Cité internationale de la langue française=国際フランス語センターとは、パリからTERで45分くらいのヴィレル=コトレという小さな街にある施設です。正直全然万人におすすめできるような場所ではないのですが、フランス語を愛する者として、どうしても行ってみたく!この度行ってきました。
国際フランス語センター
ヴィレル・コトレ城という、フランソワ1世が作らせたお城に2023年末頃にマクロン大統領がこのフランス語国際センターを作りました。なぜこの場所だったかと言うと理由があり、このヴィレル・コトレ城でフランソワ1世はヴィレル・コトレの勅令を発布し、この勅令によって国内で行われる司法、行政の業務をすべてフランス語で行う、ということが取り決められました。フランス語がフランスという国の公用語になった場所なわけです。やることがロマンチックでいいですねえ。
このお城には北駅からTERに乗って向かいます。こちらのサイトで往復の電車と入場券がセットになったものが18€で購入できます。パッションモニュモンのパスでも入れます。わたしは北駅でTERの乗り場を見つけるのにちょっと苦労しました。「TER乗り場」みたいなところに行くと改札に一旦入らされそうになるのですが、改札には入らずここのホームから電車に乗りました。駅に着いてからは10分強かな?歩いていきます。足元にマークがあるのでこれを追って歩けば迷いません。これ好き。
ちなみにヴィレル=コトレの街はもうザ!フランスの小さい街!という感じで、初めて行くのに懐かしささえ覚える感じでした。
展示内容
もちろんその内容は「フランス語」であります。例えば、
以前こちらでも紹介した『奇人たちの晩餐会』の「Juste Leblanc」のシーン。フランス語の言葉遊びのようなシーンなのでそれが紹介されていたり、
Rienという単語は3世紀頃はもともと「もの」という意味だったのに12世紀頃になぜか意味が逆転して「なにもない」という意味になった、というお話のビデオや、
un auteur(作家)だけど、une … ?という質問に対する答え方の割合とか。わたしはちなみにune auteur派。一番少数ですね。une professeurもeつけたくない派。
これも面白かったです。「La leçon d’orthographe」(綴りレッスン)と題されており、画面に出てくる綴りのどちらが正しいかを選んで、右か左に移動して答えを待つというやつ。フランス人家族がやっていたのを横で見ていました。多分フランス語学習者は「そりゃs付きよ!」と思える方が多いのでは、と思いますが、このフランス人家族、確か5人ぐらいいて1人だけsなしの方に移動していて、答えが表示されたとき「ホントに!?」みたいな反応をしていました。
こっちはもっとフランス人家族の正答率が低かったです。半々ぐらいに割れてたと思う。答え、分かりますか?答えは向かって左ですね。sがいつ付いていつ付かないかなんて、ネイティブは小学校で学んでも忘れているか、もしくは学んでいないかなんだろうなと思います。このビデオで一応ルールを紹介していたのですが、とーっても変なルールの説明の仕方でした。tuの命令法はer動詞はsが落ち、それ以外はsが残る、この説明で十分だと思います。(être, avoir, savoirはそもそも例外、Vaもyが後ろに付くとsが戻ってVas-yとなるという例外アリ!)
単語見つけゲームみたいなやつとか。画面の反応は少し悪めでした。反応しなくて困った隣のおじさんが「どうやってるの?」と私の方を見に来たりした。
こちらは目の前の画面にミニドラマみたいなのが流れており、登場人物が「なんていうんだっけ、ほら、こうやって見ているドラマとか読んでいる途中の本の重要な結末とかを誰かに話されてしまうのって、なんて言葉だっけ…」とこちら側に投げかけ、見ている我々は手元の画面から自分がよく使うその意味の単語を投票します。dévoiler=暴く、spoiler=ネタバレする、divulgâcher=暴露して台無しにする(和訳が辞書にない!)、わたしはspoilerと言うのでそれに投票しました。
そうすると投票された割合が分かり、選ばれた単語でミニドラマが進んでいく、というような展示でした。
まとめ
こんな感じで、結構遊びながら・参加しながら楽しめるような展示が多いです。科学博物館のフランス語版みたいな。ただ、フランス語中級者でもちょっとついて行くには厳しいかも、と思う内容でした。個人的な感想としてはネイティブ向けのものも多かったかなと思います。ネイティブが「スイスではそんな言い方するの!?」とか「コルシカ島にはそんな単語あるの!?」と楽しんだり、そういうベクトルの展示も多かったかなと。そうでなくてもフランス語がかなりしっかりできないと展示ビデオなど理解が難しいものが多いかなと思います。上級者なら一人でも、中級者ならフランス人と来るのが一番良さそうかな。というか単純に一人で行くより誰かと行く方が面白いのかなとは思います!
おまけ
駅にあった看板で「へ~」と勉強になったやつ。
「Tennisという単語はフランス語と英語の間をいったりきたりしました。19世紀に英語から借用されたこの単語はもともとはフランス語に由来していたのです!tenirという動詞の命令法であるtenezから来ているとされており、というのもジュドポムでボールを投げたりサーブしたりするときにプレーヤーがこの言葉を叫んでいたからです。」
「compagnonとcopainは同じ由来を持っています。どちらもラテン語でavecという意味のcumとpainという意味の接尾語panisという単語で作られています。なので語源的にはどちらも「パンを共有する相手」という意味なのです。」
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