フランス北部旅:Honfleur

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前回、ルアーブルとエトルタの旅について記録しましたが、その旅程でオンフルールにも行っていました。この町がとってもとってもよかったので、独立の記事にしようということで、今回はオンフルールの紹介です。

Honfleurの基本情報

セーヌ川はパリを東から西へ横断しているわけですが、このセーヌ川がどこへ行きつくのか?というと、このオンフルールという街です。パリから北西に海までまっすぐすすむとある街です。こちらは完全に観光地で、国内外を問わない観光客でにぎわっていました。とにかく!ほんとに!にぎわっていました。後述のガイドツアーでガイドさんが、フランスで5番目に訪れられている都市だ、と言っていたのですが、納得の人の多さでした。

パスミュゼ

オンフルールの4つの施設(ブーダン美術館、エリックサティの家、海洋博物館、民族博物館)を巡れるパスが13€で購入できます。わたしは観光案内所で購入しました。後述の施設をめぐるのに使えますが、結論から言うと別に買わなくてもいいとは思います。かといって買うことをおすすめしないわけでもないのですが…各施設ごとにコメントしております!

ガイドツアー

今回オンフルールで街を歩くガイドツアーに参加しました。これがめ~~ちゃくちゃ面白かったので、そこで聞いた内容も合わせて街を紹介します。オンフルールに行く予定で、フランス語が分かる方にはぜひこの先を読まずにガイドツアーに参加してみてほしいくらいです。

ちなみにガイドツアーの存在を知った時にはもうサイト上で「COMPLET=満席」になっており、「なんと残念な…」と思いながらオンフルールに着いて観光案内所へ行きました。「ネットで満席になってたのは見たんだけどホントに無理…?」と訊くと職員さんたちが「あ、一人キャンセル出てなかった?」「いやでもそれは結局買われたんだよ」「まあでも2、3人増えるぐらいよくない?30人も33人も変わんないでしょ?」みたいな感じでお話して、満席だったらしいのですがわたしと、その場にいて同じようにガイドツアーに参加したくて尋ねに来た別のカップルにチケットを売ってくれました。ん~なんと融通の利く!ガイドツアーは火曜と金曜だけしかやっていないようなのですが、もし自分の行く日にガイドツアーがあって、満席になっていても問い合わせに行くだけ行ってもいいのではと思います!大人1人たったの6€

ガイドツアーは11時に観光案内所のすぐ横に集合して、そこから始まります。1時間半、ガイドさんと30人ほどの参加者と街を歩きながら街の説明を聞くことができます。ほんと~~~に楽しかった!

Les vieux quartiers

ガイドツアーのタイトルがこの「Les vieux quartiers」なのですが、それはオンフルールはもともと3つの地区=quartiersに分かれていたらしく、その3つを順番にたどるためです。なぜ分かれていたかというと、地区の間に沼があったらしく、気軽には通れなかったそうです。ということで1つ目の地区から。

サンレオナール教会

ひとつめの地区がサンレオナール地区。そこにあるのがこのサンレオナール教会です。サンレオナール教会は3世紀にわたって増築が重ねられたそうです。鐘楼がマルセイユのノートルダムドゥラギャルドに似ているとガイドさんが言っていました。何度も行ったけどよく分かりません。

サンレオナールはなぜか囚人と妊婦のための聖人だそうで、なので教会内には腕に鎖のついた囚人とサンレオナールの像などがあります。

トリポ公園

サンレオナール教会からサンレオナール地区を歩きながら、次はこの公園に行きました。といっても公園というよりjardinなのでお庭とかに近いです。別に何があるわけではありませんが、街の真ん中にありながらとても静かでゆっくりできます。また、ここでは昔布染めをしていたらしく、街を流れる川が、分かりやすくこの公園を通るように曲げられているのがちらっと確認できます。

アンクロ地区

Rue de la villeと「街の通り」名を冠する通りが通るのがこの地区です。アンクロ地区というのは閉じられた地区という意味で、重要人物やお金持ちが住む地域でした。閉じられたというのも比喩ではなく本当に閉じられていて、今のオンフルールからは想像が全くつきませんが、昔はアンクロ地区を取り囲むように壁があったそうです。そう言われると、後述する総督の館にはくっついていた何かを壊したような跡を見ることができます。このアンクロ地区に入るには税金などを色々払って入るしかなかったそうですねえ。

この木が植わっているところが昔壁のあったところだそう

17世紀ごろ?この壁は壊されたそうです。いわゆる関所の運営にはお金が多くかかったので、壁を取り壊して船の停留場を増やしそちらでお金を稼ごうとしたのがコルベールだったとか?そういうわけで今のオンフルールには壁の跡はなく、壁があった場所には木が植えられているだけになっています。

ただしこの取り壊された壁については、そこで使われていた石を再利用し、Greniers à sel=塩の保管所を作りました。なのでこのグルニエをよく見ると石の大きさがかなりバラバラなのが分かります。ん~面白い。

ちなみにこのGreniers à selは今は展示会をやったりする市民の建物として使われているそうです。運よく展示会などがやっていれば中に入れます。天井が船をひっくり返したみたいな形をしていておもしろいです。

あとはこの辺は本当に家の種類がバラバラで、木組みの家の途中に石の家があったりします。なぜだか分かりますか?すべて石組みにしてしまうと、火事があったときどんどん火が広まる可能性が高いですが、石の家をたまに挟むことで、火事の際でも火の広がりを抑えようとしたそうです。賢い。

Vieux bassin

かつては壁にかこまれていたこのVieux bassinは「ザ・オンフルール!」という風景です。この奥の家々は昔壁があったところに建てられています。レストランなどになっていて、かなりにぎわっています。

わたしはツアーの前にこの家々を見て「なんでこんな風に家が出っ張ってるんだ?そしてなぜテイストが違うのが重なってるんだ?」と疑問だったのですが、その疑問がガイドさんによって解消されました。壁があった場所は取り壊した後はガタガタしていたり?で、何かを建てるには使えそうではない土地だったそうなのですが、この時代の権力者のマダムなんとかが大変賢い方法を思いついたそうで、それが「同じ土地を2回売る」という方法でした。どういうことかと言うと、下の家はBassinの方の通り向けの家に、上の家は家の向こうの別の通り向けの家にしたということです。家の向こうの通りの方は坂になっていて手前の通りと高さが違うので、1区画を2つの通りに面した別の家として2度売ることができたというわけでした。

海洋博物館

Vieux Bassin沿いに、Musée de la Marineというミュゼがあるのですが、こちらは教会の中に作られています。教会がそのままミュゼになってるってかなり珍しいですよね。ツアーの前に訪れていて、なんでなんだろうと思っていたのですがこれも分かりました。

この教会を作っている途中、百年戦争でオンフルールはイギリス人に占領されてしまいました。あと60年ほどはこの町にいることになるだろう、となったイギリス人たちは、それじゃあ自分たちでこの教会を作り上げてしまおうと思い、フランス人が建設している途中だった教会を完成させました。占領時代が終わりイギリス人たちはイギリスに戻り、フランス人がオンフルールに戻ると、建設途中だったはずの教会が完成しているではありませんか。フランス人からしたらなんだか腹の立つ話なわけで、そこで彼らはこの教会をdésacraliser=神聖なものとして扱わないようにし、別の教会を作り直したとのことでした。そういうわけでこの教会は長らく教会としては使われることなく、倉庫になったり、今のように博物館になったりしているそうです。面白い。ちなみに作り直した教会は壊されてしまって今はないとのこと。

こちらはパスミュゼの対象施設の1つ目です。博物館自体は、教会の中にあるわけなので小さいですし、見ごたえが特にあるわけでもないのでマストではないかなあとは思います。でも教会がミュゼになっているのを見られるのはあまりないので、そういう意味では面白いとは思います。でもほんと、ドラクエの教会みたいな小ささです。笑

総督の館

ここは中が博物館になっています。が、パスミュゼの対象ではないのと、時間がなかったので入れていません。ただ、先ほど言っていた通り、昔は壁がこの総督の家まで続いていたため、取り壊したときの名残を見ることができるのがおもしろいです。ガイドツアーに参加しなかったら、壁があったことなんか想像もしなかっただろうに、分かると「確かに跡がある!」と新たな発見があるのも面白かったです。

サントキャトリンヌ教会

サンレオナール地区、アンクロ地区、ときて最後の地区がこのサントキャトリンヌ教会のあるサントキャトリンヌ地区です。

サントキャトリンヌ教会はフランスでかなり珍しい木組みの教会です。とんがった屋根が2つ連なっていますが、最初は左側の1つだけだったそうです。そして鐘楼は教会の向かいにあります。普通は教会に鐘楼がついていますが、この教会ではそうなっていないの、なぜだか分かりますか?納得の理由なのですが、木組みなので鐘楼を上につけてしまうと、重い鐘が突かれて揺れたりすると木が支えきれずに教会の上に落ちてきてしまうかもしれないため、それを避けるため教会の向かいに作られたそうです。ただ、教会の広さが足りなくなり、同じような建物を右に増築してしまった結果、もし鐘楼が倒れたらそちらの上に倒れる可能性が高いそうです。計算して鐘楼を作ったのに何も考えず増築してしまったという。笑

ガイドツアーの最中は建物の中に入らないので、教会の中にはツアー後に入りました。こんな感じで中もかなり独特で面白いです。教会の中って普通ひんやりとしていますが、ここは石ではないのでそんな雰囲気もなくって、日本人としては木造に少しほっこりするすてきな教会でした。

ガイドツアーはこの教会の前で終わりました。ガイドは若い男性だったのですが、お話しながらみんながよく聞こえているか適宜確認してくれたり、聞こえない人が出ないように配慮しながら全体に向かって話しかけてくれたり、とってもよいツアーでした。ルアーブルの宿に戻ってその夜に観光案内所にメールを送ったくらいわたしは楽しみました。笑 満席だったのにチケット買わせてくれて、そして楽しいツアーをありがとうと伝えたくて!

ちなみにツアーではもっと色々お話を聞いています。全部書くのもなあと思ったのもあるので、街の歴史についてのことだけ自分の記憶のためにも記録してみました。

その他観光施設

民族博物館

ミュゼパス対象施設2つ目です。4つのうちわたしはここが一番楽しかったです。こんな風な木組みの建物に、当時(いつ?笑 たぶん中世くらい?)の人の生活道具などが飾られたりしています。

開けたらナルニア国に続いていそうな箪笥。開けると生活用品が飾られています

あと、昔は牢獄として使われていた場所もあって、そこに「囚人はこうやって繋がれていました」と鎖が展示されていてなかなかすごかったです。笑 ガイドさんもここの前を通った時に「囚人をつないでいた鎖とかも見られますよ。結構glauque=陰鬱な感じだけどね」と言ってました。まさしく。

エリックサティの家

サティの家?おもしろそうじゃん!と思うじゃないですか。この家がなかなかヤバかったです。パスミュゼ対象施設3つ目。事前に調べたときに「すごく変!」という情報は目にしていたのですが、もう思った以上に変でわたしには合いませんでした。笑

入場者にはオーディオガイド(英語かフランス語?)が渡され、部屋を移動すると勝手に音声も切り替わるタイプです。面白いと思う人はもちろんいるのでしょうが、万人受けするものではないかなあと。わたしは単純にサティの生涯とか、そんなのが見られたらいいなと思うのに、展示方法が独特すぎて見ようという気になれず…笑

施設内がめっちゃ暑かった+時間にそれなりに制限があったのもあって、「できるだけ早く出よう」と思うほどだったし、「でもこんなに早く見終わってオーディオガイド返しに行ったら受付のにこやかなマダムに失礼になるんじゃ…」と心配してしまうほど早く出たかった。笑

ウジェーヌブダン美術館

パスミュゼ対象施設4つ目。ルアーブルの美術館に多く展示されていたこのブダンという画家の名を冠した美術館。ルアーブルの美術館よりは大きいです。モネの絵も飾られていました。せっかくモネやブダンにゆかりのある地なわけなので、美術館に行くのも良いと思いますが、時間が限られているなら街を見て歩いたり、テラスでゆっくり食事したりコーヒー飲んだりする方がオンフルールを楽しめるのかなあ、とは個人的に思います。

でもパスミュゼも13€で4つのミュゼと高くはない値段ですし、買ってみるのもアリだとも思う。という感じです。

街並み

オンフルールの最大の魅力はこの可愛らしい街並みだと思います。街中がこんな感じでかわいらしい建物で溢れていて、どこを歩いても素敵です。

オンフルールへの行き方

オンフルール唯一のマイナスポイント、ルアーブルとオンフルール間のバスの本数が少なすぎる!!まずはわたしの経験を。

ルアーブル→オンフルール

例えば6月の適当な平日の時間をSNCFアプリで調べると出発時刻が、7:10、7:49、8:44、12:42、14:33…と出てくるのですが、とにかく少ないです。その上!わたしも8:44のバスに乗ったのですが、ルアーブルからオンフルールに行こうとする人はとても多くてバス停には人がたくさんいました。フランスには「列を作る」みたいな文化がないので(個人的にとても耐えがたい文化の差なんですが)、ぽけーっとしていたらいろんな人にぐんぐん押されてなかなか乗れません。そしてわたしが乗った「111番」のバスは高速バスタイプなので、立っての乗車ができません。わたしはなんとか乗れたのですが、前の方から運転手さんが乗客に「あと何席残ってるか教えてくれるー?」と叫び、「Trois ! Non quatre !」みたいな感じで乗客が答えていました。最後のグループが3人だったのに、残りが2席で「これじゃ乗れないいね…」という雰囲気になっていたところで、子連れの女性が子供を膝の上に乗せて席を作ったためになんとか乗れて出発できた、という感じでした。これ、乗れなかったらどうしろというんだ…?と思ったので、とにかく早くバス停で待っておく!というのが一番いいと思います。

オンフルール→ルアーブル

これも6月の平日で調べてみると、13:32、15:00、15:44、19:24と出てきます。ん~極端すぎ!わたしは15:44のバスに乗ろうと思い、朝のこともあったので15時過ぎにバス停にいたのですが…バスに乗れたのは16時半頃でした。1時間遅れとバスがとにかく来なかったのでずっと待ちぼうけでした。オンフルールとルアーブルを結ぶバスはカーン⇔オンフルール⇔ルアーブルという感じで運行しているのですが、行きはルアーブルが出発地なのでいいのですが、帰りはカーンからくるバスに乗るので渋滞していたらバスが遅れるというわけです。しかも!わたしが待っていたバスは111だったのですが、先に123のバス(たぶん15時出発予定のもの…?)がバス停に来ました。その時わたしはバス停で同じくルアーブルに帰ろうとしている女性と「バス来ないねえ…」みたいな世間話をちょろっとしていたのですが笑、123のバスが来て「ようやく!」とルアーブルに帰りたい人たちがわらわらと123のバスに群がる中、その女性が「でもこれ123やけどなあ…」みたいに言ってて、わたしは「ルアーブルに行くならどれでもよくない?」と思いつつも一緒に遠巻きに見ていたら111のバスも到着しました。まさしく待っていたバスだったのでその彼女と一緒にそちらのバスに乗り込んだのですが、123のバスは人がたくさんいてみんな乗り込めずにいたのに対して111のバスはすかすかで問題なく乗れ、同じルアーブルに行くのだから、123に乗ろうとして111に気づいていない人たちに「このバスもルアーブル行くからどうぞ~」とでも運転手さんが言うのかと思ったら、そのままプシューとバスのドアを閉めて出発していきました…いやいや不親切すぎというか、あのバスに乗れなかった人たちはどうやって帰るの!?とまたまた思いつつ…

ということで

わたしがこのページで見た限り、ルアーブルとオンフルールを結ぶバスは3線111番122番123番です。とにかく本数が少ないのでバスの時間をしっかり調べておくこと、行きはバスに乗り損ねないように早めにバス停に行くこと、帰りはバスが遅れる可能性が高いのでそれを考えて計画すること、をお勧めします。たぶんバスを逃したらタクシーとかcovoiturage=シェアタクシー的な?しかないと思います。バスで30分なので、Uberで帰ったろか、とバスで1時間半待ちながら思って調べたのですが、70€くらいしてかなり高いです。レンタカー一日借りる方が時間に融通利いてよっぽどいいかと。

ちなみにグーグルマップで調べたらTERで行けるよ、と出てくるのですが、これは電車でなくてバスのことのようです。バスのTERってよく分からないし、SNCFのサイトで調べるとréserver votre CAR NOMADとバスの予約ができそうなボタンがあるのですが、それを押すとすべて「complet」と出てくるので意味が分からないです。とにかく、ルアーブルには駅がありませんので、近くのルアーブルやドーヴィルの駅まで来てからバスで行くか、車で行くかしかないです。

バスのチケットはSNCFのアプリで買えます。買うとQRが表示されるのですが、わたしは特にピッとされることもなく、目視されたのみでした。

交通の便だけは悪いのですが(ハイシーズンはましになるのかな?)、とってもとっても素敵な街だったので、ぜひ足を伸ばして行ってみてほしいです。

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