Vous, au moins, vous ne risquez pas d’être un légume puisque même un artichaut a du cœur !
これは映画『アメリ』で彼女が意地悪な八百屋の店主に言う(正確には頭の中でですが)セリフです。読み解けますか?
まずはこの文をそのまま訳してみましょう。puisqueが接続詞ですので、その前後で分けてみましょう。
最初のVousは主語ではなく強勢形で、その後の主語のvousの強調です。「au moins」は「少なくとも」と訳せます。「risquer de~」は否定文で「~のリスクがない、~の心配がない」という意味になるので、「あなたは少なくとも野菜になる心配はありませんね」となります。
「puisque」は「parce que」と同じく「なぜなら」と訳せますが、自明のことを理由とする場合によく使われます。(今日は雨だから家にいようよ、とか。別にこの場合も「parce que」でもいいんですけどね。) またここで使われる「cœur」は「心臓、こころ」の意味でご存知の方が多いと思いますが、「野菜の芯」の意味もあります。主語に「même」がついているので「だってアーティチョークにでさえ芯(こころ)があるもの!」となります。
ということで直訳すると「あなたって人は野菜になる心配はないわね、だってアーティチョークにすら芯(こころ)があるんだから!」となり、八百屋の店主の心のなさを皮肉ったセリフになるわけです。「cœur」という単語の二つの意味を上手にかけた面白いセリフになっています。
さて、なぜ数ある野菜の中でもアーティチョークなのでしょうか?実はフランス語には「avoir un cœur d’artichaut」という熟語があります。直訳は「アーティチョークの心を持つ」ですが、「気がうつろいやすい」「惚れっぽい」という意味になります。
この熟語があるからこそ、こころ(芯)を持つ野菜の例えとしてアーティチョークを使っているんだと思います。
コメント