わたしは映画が好きで、そしてフランス語もフランスもすごく好きですが、フランス映画は趣味に合わないです。そんなわたしでも良かったなと思ったフランス映画、せっかくだからフランス語のお話とともに記録してみようかなと思います。今回は2015年公開の「グッバイ、サマー」という映画です。
トレイラーから学ぶフランス語
まずはフランス語の話から!英語圏向けトレイラーをどうぞ。
まずはいくつかセリフをピックアップして見てみましょう!
01:10
Bah, je sais pas si c’est une idée de génie ou si c’est complétement débile.
(いや、天才の発想か完全にバカなのか判断に迷うな)
「génie」は「天才」という意味です。ランプの魔人ジーニーもフランス語では「Génie」と呼ばれています。「une idée de génie」で「天才の考え」ですね。そしてこの「débile」という単語は、辞書で引くと「脆弱な」などの意味が出てきますが、日常会話ではこのように「バカな」という意味で使われることがほとんどです。「バカ」の言い方には色々ありますね、辞書で出てくるものだとidiotやstupideなんかがありますが、よく使われるのはこのdébileとか、あとはbêteなどもよく使われます。conも本当によく使われます(奇人たちの晩餐会『Le dîner de cons』でも)が、他の言葉と比べるとちょっと強めかなと個人的には思います。ま、言い方によりますが。「もうわたしったらドジなんだから」みたいな感じで「Ah je suis bête !」とかは気軽に言えるかなと思います。
01:34
T’es quand même très compliqué comme mec.
(お前ってやっぱホントめんどくさい男だよな)
「T’es」はもちろん「Tu es」の省略形です。この文章、「T’es quand même un mec très compliqué」と言うこともできるわけですが、この「comme」を使ってもすごく自然な言い方になります。「comme …」で「~として」という風に使え、例えば「Qu’est-ce que vous voulez comme dessert ?=デザートは何に致しますか?」というレストランでよく聞くセリフも「デザートには何が欲しいですか?」という言い方がされています。なのでこのセリフも直訳すると「男としては君ってやっぱりとても複雑だね」という文章になっています。「quand même」も本当によく使われる熟語で、「それでもなお」とか「やっぱり」というような意味になります。
01:46
T’arrête pas, t’arrête pas, accélère !
(止まるな止まるな、もっと速く!)
英語字幕だと「Don’t stop」になっていますが、フランス語だと「Arrête pas」ではなく「T’arrête pas」になるのがポイントです。arrêterは後ろに目的語を持ってきて喧嘩など「~をやめる」もしくは車など「~を止める」という意味になるか、目的語なしで「止める、やめる」という意味になります。ただ、「止まる」つまり足を止める、立ち止まるという意味にしようと思うと、再帰代名動詞にする必要があります。「Arrête pas」だと「やめないで!」、「T’arrête pas」だと「止まらないで!」という意味になるので、使いどころがかなり変わってきます。
映画について
ではここからは映画の話を。タイトルの「Microbe et Gasoil」は主人公の二人の少年のあだ名です。あだ名、と言っても決して彼らが気に入っているあだ名ではなく、ブロンドの少年につけられている「Microbe」はもともと微生物などの意味をもち「チビ」というようなあだ名です。もう一人の少年の「Gasoil」はガスオイルのことで(gas-oilでそのまま英語gからきています)機械をいじるのが好きなためいつもガソリンくさい、という理由でつけられたあだ名です。クラスでも少し浮いた存在の二人が車を自作してこっそり旅に出ることを計画するお話です。
監督がベルサイユ出身の監督らしく(『エターナルサンシャイン』の監督!)、自伝的作品ということで舞台はベルサイユです。宮殿の前にある太陽王”le Roi-Soleil”ルイ14世の銅像が映ったりしています。また主人公が14歳だったかな?の少年たちなので、大人になってからフランスに行くのではなかなか知ることのできない中学校の様子なども見られて楽しいです。
少年たちのロードムービーというのもなかなかないし、喧嘩したと思えば仲直りしている二人が可愛らしくってとても良い映画でした。残念ながらAmazon Primeでは見られないようですね。U-NEXT、DVDなどでぜひ。
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