フランソワオゾンの映画『Été 85』(邦題:Summer of 85)の劇中で出てきたヴェルレーヌの詩を紹介します。
Il faut, voyez-vous, nous pardonner…
Paul Verlaine
Il faut, voyez-vous, nous pardonner les choses :
私たちは、ねえ、あれやこれを許されるべきなのです
De cette façon nous serons bien heureuses
そうすれば幸せになれるでしょう
Et si notre vie a des instants moroses,
もし悲しいときが訪れても
Du moins nous serons, n’est-ce pas, deux pleureuses,
少なくともわたしたちは一緒に泣けるでしょ
O que nous mêlions, âmes soeurs que nous sommes,
運命共同体のわたしたちは
A nos voeux confus la douceur puérile
子どものような甘美さと混乱した願いを混ぜ合わせ
De cheminer loin des femmes et des hommes,
女や男からは離れたところを進む
Dans le frais oubli de ce qui nous exile !
私たちを遠くへ追いやる冷たい忘却の中へ
Soyons deux enfants, soyons deux jeunes filles
二人の子供に、二人の少女になりましょう
Eprises de rien et de tout étonnées
何にも熱中せず、そしてあらゆることに驚く
Qui s’en vont pâlir sous les chastes charmilles
純潔なクマシデの並木道の下で青白くなる
Sans même savoir qu’elles sont pardonnées.
許されたことさえも知らないままの
ヴェルレーヌといえばランボーと恋仲にあった詩人です。オゾンのこの『Été 85』もオゾンの映画の例に漏れず同性愛を描いた作品。恋に落ちた二人の少年が劇中で読み合っていた詩です。よく見たら分かる通り、この詩の登場人物は二人の女性。2行目の「nous serons bien heureuses」で「nous=女性たち」なのだなと分かりますね。許されるべきだということは、許されない何かをした二人。何をしたのかは分かりませんが、ひたすらイノセントに描かれています。
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